さて、前回の「」ではとても良い子の例を挙げてみましたが、今度はうまくできなくて自己肯定感が低くてなんでもできないと諦めていた子をご紹介したいと思います。
学童保育と私 2 君はできる子だよ!
上級生、同級生はおろか、下級生にまで下に見られてしまっていた子。
下級生にまで馬鹿にされてしまっていたけど…
Mくんは学校でも学童保育でも、先生のみならず子どもたちからも、毎日同じことを何度も注意されてしまう子でした。
私も初めはわざとやっているのか、それとも発達に問題があるのかと注視していたくらいです。
何せ、2分と座って黙って話が聞けず、「おしり!」「おならぷう!」なんて言葉が静かに話を聞いている部屋に響くのですから。
初めは笑ってしまっていた子どもたちも何カ月も経つと「うるさい」「また?」「バカじゃないの?」「ほら注意された」と冷めた対応をしていました。
もちろんどの職員も注意をしますが、ものの1分経たず忘れてしまいまた同じことをするというのが常でした。
他にも指示が通らない、他に夢中で聞いていない、部屋の中を走る、おもちゃを投げる・蹴る、ふざける、汚い言葉を使う、口で説明できず手が出るなど…おおよそ3歳児程度の行動を想像されると分かりやすいです。
でも…
でもですよ…
私は気づいていました。
その問題行動がじわじわ間隔を空けていっている事に。
そしてMくんのよいところに。
落ちぶれていかないようにどうするか?
同級生はもちろん、下級生からもバカにされて続けてしまったら、Mくんにとって良くないのは明確です。なので何とかしたい、何とかすることにしました。
まず、私はMくんがなぜそんな状態なのかを考えました。
そして分かったのはMくんは、すでに自分自身に「できない奴だ」とレッテルを貼っていました。
自己肯定感が地に落ちていたのです。
言葉は悪いですが、容姿や才能、賢さが人に誇れたものではない今の私なら、可能性の塊でその悲惨な三要素を持ち合わせていないMくんを押し上げられる!と思いました。
そこからはとにかくMくんを注視して、良いところ探しをしました。
すると、
- 集中力がとても高い(読書を始めたら周りがどんなに騒がしくても意に介さない)
- 絶対にふざけないで話を聞いて、アウトプットできるイベントがある
- 素直(かわいいです)
- 優しい言葉と声で注意ができる
- 人を和ます笑い方ができる
- はきはきと話すことができる
- 他人の良いところを見つけて褒められる
たくさん見つけました。この良いところを見つけ次第褒めていくことにしました。
負のスパイラルから抜け出す方法
先に書いてはいないのですが、周りの子が当然できることもMくんにとってはできなかったけどできるようになった、できた、ということはこっそり褒めて、他の子ができたりできなかったりすることは声高に褒めました。
例えばみんな当然行う、「登室したら連絡帳を出したあとすぐに学習時間に移る」もいつもグダグダしてなかなかできなかったのに、できるようになったら、「今日は早いね!」、「昨日も早かったね!」、そして他の子がダラダラしていたら「ほらー、もうMくんはとっくに終わってるよー!」というように。
特に二つ目に挙げた「・絶対にふざけないで話を聞いて、アウトプットできるイベントがある」は、ここ十数回、途中で些細なものすらふざけているところを一度も見ていないので、「いつも見ているけど、Mくんは一度もふざけないでかっこよくできているよね。次も期待しているよ。ふざけている人がいたら優しく注意してあげてね!頼むよ!」と言うととても嬉しそうに「うん!」と笑ってくれた。可愛かったです。
私はMくんに3点のポイントを意識して伝えました。
- いつも見ている:悪い事はもちろんだけど、良い事も見ている
- 信頼している:がんばってきたこと、できることを見てきたから、信じている
- 役割を与える:抜きんでてできることがある、それを責任を持ってやってほしい
あとは普段の関係性で私は、挑戦しようとして失敗したことは叱らないということやうまくできなかったらサポートをするという事を分かってもらっているので、Mくんには納得しやすかったのかと思います。
Mくんからすれば、
- 先生(私)は今までのがんばりを見ていた=だから認められて信頼されている
- 他の子ができないことがを自分がしっかりやって、周りもできるようにしてあげる
- できたら先生が褒めてくれる=また信頼される、味方ができる
- できなくてもやろうとしたことは認めてくれる=失敗は怖くない
と受け取ってもらえて、結果的に自己肯定感を上げるスパイラルに入ってくれました。
お手本になれるMくんに!
先々月頃から、もうMくんは下級生からもバカにされることがほとんどなくなりました。むしろお手本になることが多いです。
たまに失敗して落ち込んだり、ちょっとふざけてみたりはするものの、毎日何度もということは一切なく、数週間に一度という状態です。
優しく注意をしてあげていたり、譲ってあげていたりをよく見かけるようになり、こと私には「これこれができたよ!」「これができないから手伝ってほしい」と見て見て!と来てくれることも増えて、表情も明るくなりました。
先生はMくんの、人を和ませるかわいいその笑顔が大好きです。
たくさん見せて下さいね。
□■□学童と私シリーズ□■□
コメント