私が勤めている学童保育の子どもたちの中に、自分のから発言できないという子が毎年必ずいます。
私は見た目や性格からか、そういう子どもたも割りと早く本音を出してくれるので、今回は引っ込み思案さんをご紹介します。
学童保育と私 8 引っ込み思案な子
元々の気質やさまざまなバックグラウンドがあって、自分の意見がなかなか言えないという子は実は多く、毎年必ず利用者の1割以上はいます。
引っ込み思案さんはどんな子?
基本的に声が小さくて、友達や先生に自分から話しかけることが難しく、したいこと、されたら嫌なことなどが言いにくい子、と認識しています。
ここで間違ってはいけないのは、引っ込み思案さんはやりたいことや言いたい事がないのではないし、できなくて良いと思っているのではないということ。好きなこともやりたい事も嫌いなこともやりたくない事もあります。
「意思表示しないのだから仕方ない」と言う人もいます。確かにその考えは合っています。でもだからと言って切り捨ててしまうのが私にはどうしてもできず、ムリに「意思表示しなさい!」とするのではなく、その子達にとっての学童保育を練習の場にしたいなと考えています。
なんで引っ込み思案なの?
その子自身の元々の気質だったり、家庭環境や保育園・幼稚園での人間関係等の後天的要素、場面寡黙症などあります。
元々の気質は生まれ持った性格なので説明は省きます。
後天的要素は不憫だなと感じてしまいます。私が見てきた中ではいくつかパターンがありました。
- 上にデキの良い兄や姉がいて、年齢が下であるから当然なのにも関わらず、同じようにできないからと自己否定をしている子。
- 保護者の意見を本人の意思よりも優先し子どもに強く強いてこられた子。
- 転居などで保育園・幼稚園が途中で変わり、仲の良い子が作れなかった子。
上記のどれかと元々の本人の気質の相性もあります。
引っ込み思案は、生まれ持った気質を変えないで済んでいることだったり、またその子が自分を守るために得た能力だったりするので悪いことではないと考えています。
学童保育での引っ込み思案さんは?
毎年必ず複数名いるのですが、みんな学習面も運動面も良くできる子でした。
中にはその賢さや能力の高さをクラスメイトやた学年が認めて褒められる、一目置かれるということは何度も見ています。
とても回りを良く見ていて観察する能力が高かったりしていると思います。
算数や絵が得意だとか走るのが遅いとかの得手不得手のひとつとして、意思表示が苦手なだけだと私はとらえています。
引っ込み思案さんにどうなってほしいか
私が引っ込み思案さんにこうなってほしいなと思う事はシンプルで「損をしないように意思表示できること」です。
損とは本人次第ですが、望まない損を「いつも黙っているからいいや」と押し付けられる事が無いようになって欲しいのです。
一番に並ばなくても二番でも三番でも気にしないという子は一番ではないことを損とは思わないですし、リーダーをしたくないから決めるのに参加しないというのは良いです。でも、言わないからいつも一番後ろに並ばせられるとか、やりたいかも聞かずにリーダー決めには参加させずにサポートに回されるというような事はあってはならなくて、それを避ける力を持ってほしいなと考えてているのです。
私の取り組み
だからといって、今日から今から意思表現をしなさい!なんて、大人に「今からオリンピック選手と同じトレーニングを行いましょう」というようなもの。当の子どもたちにとってそれは愚策でしかありません。
まず行うのは、安心してもらうこと。
私たち職員は評価をする人間ではないし、学童保育は競う場所ではないので、ルールはあれど楽しく安心して過ごせるように声をかけたり、環境に配慮します。
ゆったりと学童保育のルールを説明して、慣れるまでの数日間は登室後やることも一緒にやったりします。
…とはいえ、恐るべきは引っ込み思案ちゃんの観察力と記憶力、一度でできてしまう子も珍しくありません。あまりあってはならないことですが職員全員が他の子にかかりきりになっている時に、一人でできている上級生など他の子の様子を見てできる子も少なくありません。
私たち職員も数日は様子と表情を見て声をかけます。人見知りもあったりして、初対面の人間に声をかけられることがストレスの子もいるからです。
しばらく物理的な距離をとって、目線を合わせて興味のあることなど話しやすい事や一言二言を発してもらえたらなと始めます。
例えばこんな感じです。
子ども「弟が、いるんだよ」
あんこ「そうなのね!お名前は何て言うの?」
子ども「◯◯、◯くんってよぶの」
あんこ「教えてくれてありがとう✨◯くんはどこの保育園に行ってるの?」
子ども「………」
あんこ「大丈夫よ✨思い出したらまた教えてくれる?」
子ども「◯くん、パンすきだよ」
あんこ「おおっ!新たな◯くん情報だね!ありがとう!」
子どもの無言は失敗ではなくて、言いたい事をまとめている時間だと考えています。
その結果話したくなければ話さなくていいし、質問と違ってもちゃんと発言ができているので大成功です。
学童保育は学校ではないので「必ず正しい回答しなくてはいけない」場所ではないので、私との会話は言いたい事を言う練習だと思っています。
さいごに
引っ込み思案の子たちがこの先の道で望まない不利益を押し付けられないように、ピンポイントでも発言ができるようになって欲しい、数少なくても親友など何でも安心して言える人ができたらいいなと願っています。
引っ込み思案で何も言ってくれなかった子が、私に慣れてくれて笑顔を見せてくれたり、他愛のない事を話してくれたりすると、男女どちらでも「うあぁぁぁ可愛いぃぃぃ♡」と内心なります。その都度、同僚の職員に報告しています(笑)
先生はあなたが教えてくれる事のすべてがうれしいです。
先生を安心できる場にしてくれてありがとう。
先生以外にも信頼できる人には出逢えるから、見逃さないでステキなお友達を作っていってね。
コメント